2013年07月28日

低所得層への支援と貧困ビジネス

最近仕事をしていて疑問に思うことがある。
低所得層への支援と貧困ビジネスの関係である。

ソーシャルワーカーが行う低所得層への支援としては、様々な公共料金の減免手続きであったり、最終手段として生活保護を使うなどの公的扶助が中心となる。
公的扶助には、それを受けるための受給要件があったり、受給することによるデメリットもある。

国民年金の減免は、老齢基礎年金の受給額が減額されるし、生活保護は自動車を所有できなくなり生活資金の使い道には一定の指導が入るようになる。家族とも縁を切らざるを得なくなるケースも出てくる。
こうした公的扶助には自由を束縛されるというデメリットが付随する。
人は自分らしい生き方を選択する自由があるものの、その一方で一定の基準のもとで制限を受けつつも公に頼るという手段が用意されているといえる。

こうした制限や社会的立場を考え、公的扶助に頼ろうとしない人々がいる。
それ自体は何も問題ではない。そうしなくても自由に生きていけるからだ。
しかし、その一方で問題になるのがこうした人々を顧客とする貧困ビジネスだ。

収入が少なく、保証人がいない人を受け入れる賃貸物件。
その中には違法ハウスと呼ばれる法律上の基準を満たしていない住居を貸し出しているものがあったり、特殊な名目で生活費の一部を家賃と同じように支払わせる物件もあるという。
貸金業者の中には年金を担保に生活費を貸し出し、その利子が次回の支給額をかなり圧迫しているものがある。
低所得の人の生活費の一部をもらうことで生活に必要なサービスを提供しているのだ。

違法なものはよくないが、しかしながらかなりグレーな部分ではある。
所得が低い人ほど、家賃の低い物件すなわち質の低い物件を選ばざるを得ない。
そうすると違法すれすれの基準の物件になったり、特殊な事情を抱えた物件になる確率が上がってくる。
管理人がこういう人々の世話を多少する代わりにお金を一部負担させたら貧困ビジネスになってしまうらしい。
しかし、低所得層の人の中には生活能力が低い人が多く含まれている。そうした世話を民間が行うと貧困ビジネスになると言われると不思議である。

一般の金融機関や消費者金融ではお金を貸してくれない場合でも、年金を担保にお金を貸し出すこと自体には違法性はない。ただ、年金を担保にお金を貸すと、必然的にその後の生活は非常に厳しくなる。利子の返済に追われる生活をずっと続けるという悪循環に陥りやすいのだが、親切にお金を貸してくれる業者として認識されていたりする。これも一種の貧困ビジネスとして問題視されている。

分かりやすく言えば、低所得層向けにサービスを提供すると、値段と質のトレードオフでやり取りされるため、違法すれすれのサービスが提供されるが、中には違法性を感じるものが含まれているということ。
これらを厳しく取り締まれば、サービスを受けられない人々が生活に行き詰ってしまう。
そして、これを公的扶助で救おうにも、受給基準の問題や支援する側のソフト・ハード面(資金・人材・プログラム・施設等)の不足で救えない状態になっている。

何が問題なのだろうか。
・低所得層の人々がお金を稼げていないのが悪い。きちんとした仕事に就き、安定収入を得られれば解決する。
・住宅基準や貸金業の基準が厳しすぎる。基準を緩和すれば現状の貧困ビジネスも普通のビジネスとして認識される。
・公的サービスが不足している。お金や人材、施設をもっと用意し、低所得層を十分受け入れられるようにすれば問題は解決される。
上記のような愚直な意見は誰もがすぐに考え付く。しかし、それが実現しないのは相当にそのハードルが高いからである。

当事者がお金をきちんと稼げないのには理由がある。病気や障害、能力と求人のミスマッチなど様々だ。
基準の緩和についても、緩和しすぎると、その選択がどれだけハイリスクなものであろうと選択した人の自己責任になる。つまり、もっとハイリスクな選択をしがちになるということ。
公的サービスの拡充も財源の問題に直面する。相当に政治的な力が働かないとこうしたサービスは実現されない。もっとも、そのような予算配分は別の問題をもたらしかねない。

難しく考えたが、一般の人が感じるような「お金がないのはその人の問題」、「安いものにはわけがある」、「行政の怠慢、お役所仕事」という批判は的確とは言えないが、概ねそのような捉え方になる。
ここに福祉の手を入れても、そもそもが難しい問題であり、そこにうまく付き合っていく難しさがあると感じる。
posted by トモロウ at 11:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会問題
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/71437328
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック